香川県は、東讃、中讃、西讃の3地域に区分されますが、香川県の獅子舞も広く見ると、この区分に沿って文化の違いが現れています。
そこで、市や町で地域の獅子組を調べて情報を公開している三木町と、善通寺市と比べてみました。
下記の数値は、現在活動している獅子組数になります。
・三木町 :57組
・善通寺市:59組
次は、秋祭りで獅子舞の奉納がある神社の分布図です。
これを見て何か気づかれたでしょうか?
そう神社の数が違います。
・三木町 :9社
・善通寺市:19社
では、なぜどちらもほぼ同じ獅子組数になるのでしょうか?
既に察している方もいらっしゃるかもしれませんが、
三木町は、善通寺市に比べると、神社の数は少ないが、神社に集まる獅子組数が多い。
善通寺市は、三木町に比べると、神社に集まる獅子組数は少ないが、神社の数が多い。
ということです。
三木町の場合、1組だけであったり、5組の神社もありますが、1社に9~12組程集まる神社が多くあります。
善通寺市の場合、神社は多いですが、1組のところもあれば、2、3組と地域によって様々で、多くても6組ほどです。
こうして見ると、どちらも対照的で興味深い結果となりました
なぜ、面積が三木町の半分ほどしかない善通寺市では、お祭りをしている神社が密集しているのか、その土地ならではの風土や、歴史が関係しているのではないかと思われます。
写真活動の傍ら各地を巡っていると、風土や文化、人の流れ、また高松藩、丸亀藩と区分されていた歴史など、その結びつきを強く感じることがあります。
それでは、獅子舞の文化はどうでしょうか?
【 三木町 】
【 善通寺市 】
見ただけでもわかるぐらい、獅子舞の様相は違います。
共通しているのは、張り子の獅子頭と鉦ですが、鉦は吊るしている道具、叩くスタイルが違います。
獅子頭も、三木町では猫獅子が多く、善通寺市では塗り獅子が広く使用されています。
※猫獅子を使用している地域も一部あります。
それ以外になると、使用されている道具や、それぞれの役割など共通しているところはありません。
次に、舞やリズムはどうでしょうか?
【 三木町 】
【 善通寺市 】
同じ香川県内の獅子舞ですが、リズム、舞、全て違いますよね。
三木町は、「平獅子」、「牡丹くずし」の2つの流儀の獅子舞が多く見受けられます。
善通寺市は、市内は「十二通り」という舞を統一した歴史がありますが、その周辺地域は、それぞれ違う獅子舞を見ることができます。
このように、言葉としては「獅子舞」と一括りできても、その言葉通り一言では説明がつかない程、東讃と中・西讃とでは文化が違います。
同じ獅子舞でも、こうして違いが大きく現れているのは、そこに住む人達の生活と強く結びついているからなのかもしれません。
余談になりますが、写真活動をしていると
「三木町は、獅子たちの里となぜいっているのか」
と、よく質問されます。
香川県の民族文化に精通している方に、以前聞いたことがあるのですが、それとは別に三木町に問い合わせてみたことがあります。
歴史的な意味合いや、県内の獅子舞文化に深い関わりがあるという何かしらの根拠はなく、単純に町おこしとして「獅子たちの里」とPRするようになったということのようです。
今回、三木町、善通寺市をご紹介しましたが、善通寺市のお隣り三豊市高瀬町でも、同じ数だけの獅子組が活動していますし、善通寺市とはまた違う獅子舞文化の様相を呈しています。
大木獅子組の多度津町も、また他とは違う文化があります。
どの地域も、自信を持てる獅子舞文化があるといっても過言ではないでしょうか。
今年は、新型コロナウイルスの影響で春祭りのほとんどが中止となりましたが、またいろんな発見ができる日が来るように楽しみ待っておきます
最後まで読んでいただき、ありがとうございました