里帰りをした小さな獅子頭

 

以前のブログでも書いた、宮武の小振りな獅子頭を預かる前に、一度、善通寺市の職人さんの松下のおっちゃんのところへ持って行き、宮武の獅子頭か見てもらうことにしました。

見てもらうなか、おっちゃんの昔話で盛り上がり、おっちゃんもこの手の獅子頭を以前作っていたのか、気になったので聞いてみました

おっちゃん曰く、

「依頼があれば県や土産物屋に卸してたが、ワシのはそんなに出回ってないぞ」

ということでした。

あればぜひ欲しかったところですが、依頼をすればそこそこはするということ

お金がない

結局、宮武の獅子頭とわかって、その後預かることになったというのはブログで書いた通りです。

↓以前のブログ記事はこちら
小さな獅子頭を通して感じる歴史

 

その続きがありまして、、、

なんと、そのおっちゃんの小振りの獅子がうちにやってまいりました(笑)

 

松下の獅子頭
松下の獅子頭

 

ほんと運がよかったというか偶然というか、結果的にうちに来たことになったのですが、うちにやってきたおっちゃんの獅子頭の出処は横浜市。

まさかの関東へお嫁に行ってたみたいで、それが功を奏したのか保存状態もとてもよく、月日が経った髪の毛の変色以外は本当に綺麗でした。

里帰りを果たした獅子頭をおっちゃんに見せねばと持って行ったのですが、おっちゃんも思い出したようで、どうやら昭和時代に製作した作品だそうです。

どこへ卸してたのかも判明したのですが、残念ながらそのお店は今は閉店をしていました。
当時卸してたところは、県外の方が多く訪れる場所だったらしく、依頼があればその店へ卸してたそうです。

「そこで買った客がいて、それで県外へ行ってたのかもしれんの」

とおっちゃんが言ってたように、おそらくそのような経緯で海を渡ったのだと思います。

何かこの獅子頭の歴史に少し触れられたような気がしました

帰り際に、

「買い取るぞ?」

と、笑顔で言われましたが、丁重にお断りさせて頂きました(笑)

 

松下と宮武の獅子頭
宮武と松下の獅子頭

 

宮武、松下の獅子頭を目の前にして思うこと、、、

あと、先代が制作した丸岡があれば完璧なんだけどなぁ~~

と、思いましたが、欲を出してたら来ることはないと思うので、ここは物欲を出さないことにします(笑)

 

両方とも、思ってもみなかった経緯で来た獅子頭ですし、大事にしていかないといけないですよね

 

おっちゃんの獅子頭、香川県へお帰りなさい

 

 

 

 

小さな獅子頭を通して感じる歴史

 

最近、小さな獅子頭をうちで預かることになりました。

それは、髪の毛がとてもごわついている程、古い小さな獅子頭

触ると抜け毛も酷いということで預かることになったわけですが、髪の毛以外はとてもいい状態の獅子頭です。

このまま放置も何かかわいそうだなということで、ちょっとしたメンテナンス。

 

宮武の獅子頭
宮武の獅子頭

 

抜け毛対策をして、、、

 

宮武の獅子頭
宮武の獅子頭
宮武の獅子頭
宮武の獅子頭

 

うちに来た時よりも、凛々しい獅子頭に変わってくれました

このサイズの獅子頭は、今では手に入れるのもなかなか難しい物です。

以前に、このサイズの獅子頭が出回っていた時代があったという内容のブログを書いたことがあるのですが、こうしてその獅子頭を目の前にしていると何か職人さんの歴史に少し触れているような気がします。

↓以前のブログ記事はこちら
昔の獅子頭事情

物産品などを置いているお店などへ行けば、今も飾り用から小さなお子さんが持てるような獅子頭まで、いろんなサイズの獅子頭を手に入れることはできます。
ただ、その獅子頭と比べると、本職の職人さんが手掛けている獅子頭はさすがといべきかそのクオリティはとても凄い物です。

ただ、小さいからといって侮るなかれ

獅子舞で振っている獅子頭と製法はほぼ変わらないのもあるのですが、小さいから逆に作業がしづらくなる箇所が出てきたりと手間になる場合もあるそうです。

確かに、サイズが大きいと手を入れやすい箇所も、小さくなれば入れづらくなる、、、

職人さんから、その話を聞いたときは確かにと妙に納得したものです。

ということで、偶然にもうちにやって来た小さな獅子頭くん。
いつまで預かることになるかはわかりませんが、それまでに残りのメンテナンスを終わらして目に焼き付けておきたいと思います(笑)

最後に、この獅子頭ですが宮武の獅子頭だそうです。
特徴的に宮武だろうと思っていたのですが、宮武の獅子頭は黒のイメージが強かったので、気になって2人の職人さんに鑑定してもらったところ、宮武で間違いなさそうです。

このサイズの獅子頭は、丸岡もたまに見ることがあるので、当時の先代の職人さんたちが頑張ってきた結果、こうして今も目にすることができるのかなと思いました

 

職人さんの手によって生まれる獅子頭

 

獅子舞に携わっている者にとって
獅子頭はよく知っているようで知らない物です。

いったいどのようにして出来上がっていっているのか
使用している側としては、普段そのようなことを意識することはあまりありません。

 

作業中[ 松下獅子店 ]

 

個人的な写真活動を通して、
獅子頭の制作を、特別に見させてもらう機会があったのですが
一言でいうと、とてつもなく根気のいる作業です

しかも、そのような細かなところまで気を使って作業をしているんだ
という驚きの連続でした。

道具、材料、全てにおいて気を使っています。

紙で作られている獅子頭といっても、紙だけではやはり弱い物です。
獅子頭の強度を強くする為に、何回も何回もいろんな工程を重ねていき強くしていきます。

金箔の張り合わせでも、気を使いながら作業をしていました。
一つ一つの工程が、すぐできるようなものでもなく
どれも相当な根気がなければ出来上がりません。

誰にでもできるものではないのだなというのが
正直な感想でした。

ただそのような大変な作業でも
ある職人さんは、修理でも新調でも、喜ぶような獅子頭を渡すことができれば
という想いで獅子頭を制作しているそうです。

たった一つの獅子頭には、地域の方々、獅子組、そして制作者
たくさんの想いが詰まっているのかもしれませんよね。