世代を超えて、思いを共有する

 

当ブログに、たまに書かせてもらうことがある善通寺市の獅子頭職人 松下のおっちゃん。

その松下のおっちゃんが手掛けた獅子頭は、20年、30年経っていても、まだまだ現役で使えるほど頑丈な獅子頭です。

ただ頑丈だといっても、月日が経ってば年季も入ってきます。
そのような年季の入った獅子頭も、職人さんの手によってかかれば、また新たな輝きを放ちます。

 

砂古獅子組(善通寺市)
砂古獅子組(善通寺市)

 

生まれ変わった獅子頭を初めて振る時は、とても緊張もしますし、気合いも入ります。

その獅子頭が新調されて、初めて獅子組の元に訪れた時も、同じように綺麗な輝きを放ってたのかもしれません。

その当時の世代の方々も、新調された獅子を初めて振る時は、とても緊張したのではないでしょうか。

獅子頭が生まれ変わることで、世代を超えて同じ思いを共有できるというのも、なんだか凄いお話だなと思います(*^-^*)

 

※写真は、善通寺市の砂古獅子組さんの獅子舞です。昨年、長く使われていた獅子頭を綺麗にされたそうす。

古き獅子頭

 

香川県の獅子頭で多く見かけるのは、三豊市の「丸岡」さん、善通寺市の「松下」さん、高松市の「宮武」さんの工房で制作された獅子頭です。

善通寺市の松下のおっちゃんから、よく若い頃のお話を聞くことがあるのですが、そのお話を聞いていると、昭和時代にそれぞれの職人さん達が活躍したことで、3つの代表的な屋号を持つ獅子頭ができていったのかなと感じます。

 

獅子舞 [ 香川県仲多度郡まんのう町 ]
獅子舞 [ 香川県仲多度郡まんのう町 ]

 

ただその中でも、どこの獅子頭か判別がつかない獅子頭と出会うことが、稀にあります。
それらの獅子頭は、見ただけでも古そうな獅子頭。

丸岡さん、松下さん、宮武さんの獅子頭の型に当てはまらない獅子頭もあれば、どことなく宮武さんかな?と、似ているような獅子頭もあります。

これまでの活動で耳に入ってきたのが、丸亀市と高松市春日町伏見にいたといわれる職人さんです。

いたということだけで、詳細までは情報が入ってこない謎多き職人さん達。
情報があまりないということは、相当古い職人さん達だったのかと思われます。

前回のブログ記事でも紹介をした、顔の長い獅子頭を持つ、

 

葛原正八幡宮 北獅子組
葛原正八幡宮 北獅子組

地元葛原の北獅子組さん、

 

葛原正八幡宮 南獅子組
葛原正八幡宮 南獅子組

ボロボロでしたが蔵から出てきた南獅子組さん、

 

十五町獅子組 [ 善通寺市 ]
十五町獅子組 [ 善通寺市 ]
元の獅子頭を参考に、新調された善通寺市十五町獅子組さん、

 

共に出所が不明の獅子頭ですが、若干の違いはありつつも顔つきが同じで、こうも近い地域で残っているということは、昔にいた同じ職人さんが手掛けたのではないかと想像ができます。

だとすると、共に隣りの地域に当たる丸亀市の職人さん?

と思ったりもするのですが、確証がない為、そうだったのかなぁ??と考えることしかできません(^^;)

 

逆に、少しはっきりとしている情報があるのは、高松市春日町伏見にいたといわれる職人さんです。

話を聞く限りでは、高松市春日町伏見の工房から派生したのが、高松市の宮武さんだそうです。

以前に、職人さんの工房で見かけたとある古い獅子頭。

あまり見ない型だなと思いつつも、その形状から宮武さんかな?と思っていたのですが、職人さんに聞くと伏見で作られた獅子頭という返答でした。

まさかこんなところで、伏見で作られた獅子頭と出会うなんて!と驚いていると、

 

亀田獅子連[ 高松市 ]
亀田獅子連[ 高松市 ]

 

獅子頭の内側に実際に、伏見と記述されていました。

この獅子頭は、高松市十河地区の亀田獅子連さんが所有されている獅子頭です。

見た感じはとても古い獅子頭。

修理されるということだそうなので、どのように綺麗になるのか気になるところです(#^^#)

しかし、当初は宮武さんかなと勘違いしたのも、宮武さんが伏見から学んだと考えると、似ているというのも納得できるお話です。

 

数は少ないながらも、こうして現在も使われ残っている姿を見ると、当時はどのような獅子頭が出回っていたのでしょうか。

それらの獅子頭は、もしかしたら練習用に使われていたり、南獅子組さんのところのように、どこかの蔵や倉庫に眠っている可能性も考えられます。

いつか出会うことがあればいいなと期待を膨らませ、また新しい獅子頭との出会いや祭りを求めて、2018年も各地域を回りたいと思います(*^-^*)

 

 

新調

 

獅子頭や油単、道具の新調となると、祭りに関わる地域に住む人達にとっても大きな出来事です。

壊れたから直そう、古くなったから新しくしよう

と思っても、なかなか気軽に獅子組だけでは動けない話でもあります。

ですので、新調や大きな修理で動くとなると、その獅子組にとっても歴史的に大きな出来事の一つとなります。

まだ管理人は、大木獅子組で新調するということになった世代ではないので、未経験ではありますが、色々と活動をしていると、新調や修理の現場に居合わすこともあったり、新しくなった道具の撮影をさせてもらえたりと、新調される獅子組さんの生の声を聞けることがあります。

初めは悩みながら、職人さんと相談しながら進めていくのですが、段々と形になっていくのを目の当たりしていくと、完成までの期待の目に変わっていく姿に、ちょっと羨ましく思ったりもします(笑)

 

[ 獅子頭 ]

青木北山獅子組 [ 多度津町 ]
青木北山獅子組 [ 多度津町 ]
葛原正八幡宮 西獅子組 [ 多度津町 ]
葛原正八幡宮 西獅子組 [ 多度津町 ]
辨天組 [ 善通寺市 ]
辨天組 [ 善通寺市 ]
十五町獅子組 [ 善通寺市 ]
十五町獅子組 [ 善通寺市 ]
 

[ 油単 ]

本浦若連中 [ 坂出市 ]
本浦若連中 [ 坂出市 ]

油単の新調 – 香川県の獅子舞 –
(前回のブログ記事でも、本浦若連中さんの油単の新調を書かせてもらいました。)

 

画像の獅子頭、油単は、新調や修理で生まれ変わって、祭りでお披露目されたものです。
どれも個性が出ていて、撮影していても目立っていました。

昨年から今年にかけて、油単の構想段階から、出来上がるまでを少しだけですが、見させてもらうことができました。

以前は、獅子頭がかっこよくなくてはと思っていましたが、油単をこだわって制作するとここまでになるんだという衝撃を受けて、管理人自身も油単への思いが強くなっています(^^)

大木獅子組でもいつか新調する時は、これぞ大木獅子組というものを作ってみたいものです(^-^)