その地域の獅子は珍しい?

 

香川県の獅子舞の油単。

 

仲多度郡まんのう町 【 大川神社 】
仲多度郡まんのう町 【 大川神社 】

 

武者絵、龍、虎、鳳凰、風神、雷神、、、
図柄や色は様々で、獅子の華やかさが増します

 

名部戸獅子保存会 [ 花ノ御前稲荷神社 ]
名部戸獅子保存会 [ 花ノ御前稲荷神社 ]

 

中西讃では、馬の毛に覆われたもの、絵柄ではなく毛模様、刺繍が施されたもの、布団地、絵柄とはまた違う油単を見ることができます

ごく一部の地域に限られているのか、はたまた珍しいことなのか、、、

いや、全然珍しいことではありません。

それらはごく一部というわけでなく、周辺地域にも影響を与え、獅子と共に同じような油単が周辺地域に伝わっています。

 

大木獅子組
大木獅子組

 

また、絵柄の入った油単が多いのは確かですが、大木獅子組の葛原では絵柄の油単になった歴史は浅く、古い白黒の写真で見るとそこに写っているのは布団地の油単。

周辺地域でも、昔は葛原と同じようなところもあったそうですし、代々、同じ絵柄を受け継いだ染めの油単を使っている地域もあったりと、むしろ、その時代の祭りで見る獅子の方が、地域によって様々な油単を見れたのではないでしょうか。

その時代に見れば、どの地域もお互いに珍しいと思ってたかもしれませんよね(笑)

逆に、東讃地域になると武者絵などの図柄が入った油単が圧倒的に多くなります。

 

男山神社 [ さぬき市 ]
男山神社 [ さぬき市 ]

 

東讃地域の祭りへ巡りだした頃は、中西讃の獅子を見ていた管理人にとってはその多さには大変驚いた程です。

なぜそのようになったのかは、流派という意識が強い地域ならではなのかとも感じます。

東讃地域の方にお話しを聞くと、昔から同じ絵柄を使った油単を使っているというお話も聞きました。

そのような地域が東讃では多いのかなと思いますが、そこまで多くの方にお話しをまだ聞けていませんので、はっきりと現段階ではいえないところですが

今回は油単でご紹介をしましたが、使用される鳴り物の道具も、もちろん地域によって特徴が現れます。

どちらかが珍しい、少数だということではなく、どちらも香川県の代表的な獅子でもあり、道具でもあるということに変わりはありません。

 

あやうたふるさとまつり[ 2017年11月5日(日)]
あやうたふるさとまつり[ 2017年11月5日(日)]

 

多くの地域を回っていると、ここはあそこと似ているとか、太鼓ぶちの芸が一緒だとか、共通点を発見することが多く、そういった共通点は獅子や道具にも現れます。

地域によって個性が出る香川県の獅子舞。

もしかしたら、全ての地域が珍しい獅子舞なのかもしれませんよね(笑)

 

 

中讃地域の獅子舞 – 流儀としての認識はない地域? –

 

香川県の獅子舞に流儀があると聞いた時は、大変驚いたことを今も思い出します。

それから、沢山の地域の獅子舞の撮影に行き、多くの人達と出会って色んなお話も聞かせてもらい、流儀とはどういうものなのか知ることができました。

そこから気づいたことですが、香川県の全ての獅子舞に流儀があるわけではないこと。

特に中讃地域は、それが顕著に現れています。

大木獅子組も、その流儀がない1組になります。

大木獅子組ついては、以前のブログで書かせてもらいました(^^)

獅子舞の流儀  -大木獅子組に流儀はあるの?-

 

以前は、大木獅子組の視点で書かせてもらいましたが、今回は葛原も含む中讃地域で見てみます。

 

葛原正八幡宮 南獅子組
葛原正八幡宮 南獅子組

 

管理人が住んでいる中讃地域は、様々なリズムや舞、獅子頭の種類、道具を見ることができる地域です。

地元も含まれる地域ですので、いろんな方とお話をすることもあるのですが、流儀という話にはまずなりません。

それはなぜなのか・・・。

香川県の獅子舞の流儀の1つに「五段」という流儀があります。

 

瀬居八幡神社 [ 坂出市瀬居町 ]
瀬居八幡神社 [ 坂出市瀬居町 ]

 

主に綾川町、綾歌町に多く伝わっている流儀ですが、中讃地域でも東の境に沿って伝わっています。
※「〇〇五段」というような、名称に五段が付く流儀は「五段」とはまた別な流儀という解釈をしていますので含めていません。

中讃地域で「五段」が伝わっている地域に住んでいる方に聞いたことがあるのですが、地元でも「五段」といわれているが、流儀としての認識はなかったということでした。

それらの地域では、「曲」と「五段」、「みたち」と「五段」というように2曲の獅子舞を覚えないといけない地域が多いのですが、流儀というよりも舞いの名称としてそれぞれ使われています。

中讃地域は、古くからの神事が残っている地域も多く、今も祭事では執り行われています。
獅子舞の奉納も、その神事の1つとして大切にされています。

神事の「舞」として、地元の神様への奉納に重きを置いていることを考えると、流儀としての認識は必要ないのかもしれません。

その中でも、善通寺市内の獅子舞はなかなかに興味深い歴史的背景があります。

大正11年、香川県での陸軍大演習に伴って、のちの昭和天皇が偕行社に滞在された際に、旧善通寺町の獅子舞が勢揃いして披露しました。
その際、すべての獅子舞を12通りに統一したという歴史があります。

 

丸山八幡宮 秋季大祭 [ 善通寺市 ]
丸山八幡宮 秋季大祭 [ 善通寺市 ]

 

それをきっかけに「十二通り」」の獅子舞として伝わり、今も秋祭りでは奉納されています。

また一部地域では、西讃地域の「〇〇流~」という獅子舞が伝わっていたりしますが、西讃地域の場合は流儀というよりも、発祥はここという意味合いで付けられた名称なような気がします。

そして、東讃で伝わっている流儀は、これまで中讃地域では見たことがありません。

 

大木獅子組のように、流儀ではなくその組で完結している獅子舞も多くあれば、善通寺市内のように歴史的な背景から生まれた獅子舞もあったり、隣り合った地域から影響を受け伝わっているが、流儀名ではなく舞の名称として根付いていたりと、様々な獅子舞が中讃地域にはあります。

神事の特色や、地域性、歴史背景など、様々な要因で地域に根付いた獅子舞が生まれた結果が、多種多様な獅子舞のある地域になったのかもしれません。

そのような土地柄ですので、流儀としてというよりも、神事の舞として大切にしている地域なのだと思います。

中讃地域だけでも、相当数の獅子組があります。

今後の活動次第では、またさらなる発見があるかもしれないですよね(*^_^*)

さらに、西讃、東讃と活動範囲を広げれば、中讃では見られない獅子舞も沢山あります。

香川県の獅子舞は、調べても調べても新しい発見ばかりです(*^▽^*)

 

 

民族写真家さんから学んだお祭りとは

 

昨日、善通寺市美術館で開催されていた写真展へ行ってきました。
その写真展は、四国四県の民族行事の写真を撮り続けている森本耕造さんの写真展。

管理人も、県内のお祭りの撮影に回っているので、現地で森本さんと偶然にお会いする機会も多々ありました。
そのようなご縁もあり、現地でその地域のお祭りのことを聞きながら撮影できたりと、色々とお世話になっております(*^_^*)

善通寺市美術館での開催は、今年で10回目。
民族行事の写真展を善通寺市美術館で開催するのは、10回までと決めていたそうです。
そして、その最後の節目となる第10回目の写真展が昨日で終わりました。

 

森本耕造写真展 [ 善通寺市立美術館 ]
森本耕造写真展 [ 善通寺市立美術館 ]

 

今回の写真展のテーマは、「弓」。

地元の葛原正八幡宮や多度津町内はもちろんのこと、周辺地域でも行われている「百々手祭」。

無病息災や、大漁・豊作、海上安全などを祈願して、社前で弓射儀礼が行われる神事です。
中・西讃では多くの地域で行われている行事の1つですが、四国四県でも行われています。
その四県で行われた神事の様子を、今回の写真展で見ることができました。

展示されている写真の中に、おにぎりを地元の方々みんなでにぎっている様子の写真がありました。
あとで聞いた話ですが、その数は75個と決まっているそうです。

地元の方はなぜ75個作る必要があるのか、その理由は知りません。

昔から75個と決まっているからという理由で受け継がれ、現在でもそれを守り続けているということだそうです。

森本さんは、75個という数から「七十五膳」だと思い浮かんだそうです。

神社の祭礼時に、神前に捧げられる神饌・供物として、75種類、もしくは、一つのものを75個用意するということから「七十五膳の神饌」と呼ばれ、地域によっては、飴玉を75個用意するところもあるそうです。

森本さん曰く、神事の全てに無駄がない。

その言葉には、深く心に響きました。

先ほどのおにぎりを75個という数にも意味があり、地元の秋祭りでいえば祭りが3日間開催されていること、獅子舞の奉納にしろ、行列にしろ、その1つ1つに意味があるということ。

なぜそうしているのか、今はわからなくても、それがずっと受け継がれてきたということには、必ず意味があるからなんだと思います。

これまで、沢山の獅子舞を各地域の神社で見てきて、本当にかっこいい獅子とはと考えさせれるようになりました。

 

大木獅子組[ 氏参り(2016/10/14) ]
大木獅子組[ 氏参り(2016/10/14) ]

 

今は、地元で奉納をする意味を深く考えた上で、地元に対する思いを乗せて舞う獅子舞がかっこいい獅子だと思っています。

しかも、そのかっこよく舞える場所は地元です。

色々とイベントでの獅子舞を見てきましたが、神社で舞う同じ獅子舞であっても、不思議とイベントではまったく印象が変わるので、本来の姿を見ることはできないと、これまで感じてきたところです。

香川県の獅子舞は、動きの激しい獅子舞もあれば、逆にあまり動かない獅子舞もあったりと様々ですが、本来舞う場所での獅子舞であれば、舞いに思いがあれば、どのような舞いであっても魅了できるものがあると思います。

実際に、県外で見たことがあるのですが、ほとんど動かない舞いなのに、舞い手から伝わってくるその雰囲気に引き込まれる獅子舞を見たことがあります。
あの時は、本当に魅了されました。

心がけるのは、外への意識ではなく地元への意識を持つこと。

学生の頃は、大木獅子組を見てもらいたいという思いが強かったですが、その時は、地元ではなく外への意識が強かったのだと思います(^^;)

まあ若かったから、それはそれでいいのかなと思いますが(笑)

とまあえらそうに語っていますが、管理人自身まだまだ、、、

いや、、、

まだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだ・・・

という獅子舞しかできていませんので、全然理想としている獅子舞には辿り着けていませんが(´;ω;`)(笑)

 

今回の写真展で、森本さんから色んなお話を聞くことができました。

同じ写真活動をしている身としても、とても勉強になりましたし、獅子組に所属している身としても、お祭りで獅子舞の奉納をしているということに対しての意識を、さらに強くさしてくれたと思います。

森本さんの今後は、まだ決まっていないそうですが、また機会があれば色々とお話を聞かせてもらいたいです。

またその時は、よろしくお願い致します(*^-^*)