現地でしか見れない獅子舞 – 香川県の獅子舞 –

 

4月に入り、桜も満開です。

秋祭り程多くはありませんが、4月に入れば、毎週のようにどこかしらの地域では春祭りが執り行われ、獅子舞の奉納を目にすることができます。

管理人も、昨日、三豊市三野町にある「荒魂神社」へ行ってきました(*^-^*)

 

 

荒魂神社 [ 三豊市三野町吉津 ]
荒魂神社 [ 三豊市三野町吉津 ]

 

そこは、山の中腹にある神社で、拝殿へと向かう山へと続く階段沿いの桜の木は満開で、とても雰囲気のある場所でした。

訪れた時には、既に神事が執り行われていましたが、拝殿の前には獅子や道具が設置され、奉納の出番を待っている状態でした。

獅子舞を奉納をするのは、荒魂神社若獅子連さん。

みとよ獅子舞フェスティバルで、荒魂神社若獅子連さんの獅子舞を見たことがあるのですが、実際に地元の神社で見るのは今回が初めてでした。

神事も終わり、獅子舞の奉納が始まりました。

 

 

荒魂神社若獅子連 [ 荒魂神社 ]
荒魂神社若獅子連 [ 荒魂神社 ]

 

満開の桜の木を背景に舞う獅子舞。
この時期でしか見れない光景です。

桜の木の下で舞う獅子もいいなと思いながら見ていたのですが、ふとあることに気づきました。

以前に、みとよ獅子舞フェスティバルで見た獅子舞とは、同じ獅子舞のはずなのに印象が違っていました。

これまで沢山の地域の獅子舞を見てきて、ここ最近感じていたことでもあるのですが、やはりその地域で生まれた獅子舞は、その生まれた場所で見るのが一番いいということです。

その土地の雰囲気、空気感というものは、そこに住む人達が作り出してきたもので、そこで生まれ育ってきた人達は、自然とその土地柄が体に染み込んでいるのだと思います。

地元の神社で舞う獅子舞は、その土地で育ってきた人達だからこそ活きてくるのだと思います。

管理人が、みとよ獅子舞フェスティバルで見た獅子舞と違う印象を受けたというのは、そういうところの違いがあったからなのかもしれません。

香川県の獅子舞を本来の形で見るのであれば、どの地域の獅子舞も、現地でしか見れない獅子舞なのかもしれません。

 

今回、管理人の個人的な写真活動で訪れましたが、荒魂神社若獅子連さんからお声もかけて頂き、じっくりと春祭りを見させてもらうことができました。

ありがとうございました。

 

しかし、、、大木獅子組は、葛原ではどのような雰囲気を持っている獅子組なんだろ?

少し気になるところです(笑)

 

 

太鼓ぶち – 香川県の獅子舞 –

 

太鼓ぶち [ 大木獅子組 ]
太鼓ぶち [ 大木獅子組 ]

 

上の写真は、管理人が小学1年生の時に「太鼓ぶち」として、初めて大木獅子組として参加した年の写真です。

管理人にも、このような時代がありました(笑)

 

大木獅子組[ 家遣い ]
大木獅子組[ 家遣い ]

 

「太鼓ぶち」は、小学生の子供が綺麗な着物を着て、獅子の舞いと一緒に太鼓を叩く役目です。
地域によっては、「太鼓うち」とも呼びます。

当時、秋祭りも獅子舞もよく分からなかった管理人に、訳も分からず父親からリズムを家で教えられたのが、管理人の獅子舞への始まりでした。

 

大木獅子組秋祭りの練習2017
大木獅子組秋祭りの練習2017

 

練習は、本番の1ヶ月前から始まり、毎日会場へ行っては19時から21時までの練習。
管理人も含めて子供は4人。

当時は、今では考えられないぐらい厳しく指導された記憶があります(;´・ω・)

足の出す方向が逆だと、本来前に出す足を強制的に前に出されます。
踏ん張りが効かず、そのまま後ろへストーンと転んで強打(-_-;)

落ち着きなく騒いでたらもちろん怒られますが、獅子を出している時期は特に怖く、ふざけて油単を跨ぐようなら鬼のように怒られたものです(^^;)

もちろん獅子頭を触るなんてもってのほか!!

とりあえず、練習時の大人達は怖かったです(´;ω;`)
といっても、楽しい時もあったので、いつもそうだったわけではないですよ?(笑)

 

お祓い[ 氏参り(2016/10/14) ]
お祓い[ 氏参り(2016/10/14) ]

 

葛原のお祭りでは、お祓いを受けてから始まるお祭りです。

よく大人達も、祭りは「まずお祓いを受けてから」と言っていましたが、葛原ではお祓いを受けることで、神様に近い存在になるという認識が昔からある地域だと思います。

今は、練習の為に初日から獅子頭を出していますが、当時の大人達は獅子頭を出さずに座布団を使って練習をしていました。
本番が近づく頃合いを見て、獅子頭を出し油単を付けて、初めてそこで獅子に入って練習していた記憶があります。

太鼓ぶちも、練習時期は怒られたりもしましたが、厳しかった大人達も祭り中の太鼓ぶちに対しては、とても大切にしてくれました。

そのような地域性ですから、そりゃ獅子頭を触ったり、跨いだらこっぴどく怒られるのもわかる話です(;^_^A

でもそれが、子供達にも自然と身に染みて実感するきっかけになっていたのだと思います(*^-^*)

 

ここで、「太鼓ぶち」という役目がない地域もありますので、少しばかり「太鼓ぶち」はどういったものか、大木獅子組を一例にご説明をさせて頂きます。

 

大木獅子組[ 氏参り(2016/10/14) ]
大木獅子組[ 氏参り(2016/10/14) ]

 

大木獅子組の場合、主となるリズムは大人が叩く地太鼓(平太鼓)になります。

しかし、そのリズムの基本となるのが、太鼓ぶちの叩くリズムです。
その発展形が、地太鼓でもあり、鉦でもありというところなので、獅子舞の奉納を見て頂ければ、太鼓ぶちも、地太鼓も、鉦も、ほぼ同じリズムで叩いているのがわかります。

 

大木獅子組
大木獅子組

 

しかし、太鼓ぶちの場合はリズムを覚えればそれでOKということではありません。
ただ太鼓に向かって叩くというわけではなく、リズムに合わして様々な動作が入ります。

また、リズムの合間合間でする所作「芸」と呼ばれる舞いに近いかもしれませんが、それらも覚えないといけません。

大木獅子組の場合は「芸」は16個あります。

獅子組によっては、20個以上あったりもするので、まだ少ない方だと思います。

「芸」には、

■こしあて
■むねあて
■まえのけ
■まえぬき
■ししおこし
■いれかわり
■のし


というように、1つ1つに名称がありまして、型もそれぞれ異なります。

そこをきちんとしていなければ、練習時には大人達の雷が落ちていました(;^_^A

百聞は一見に如かずということで、、、

 

 

イベントの時の動画になりますので、本来の太鼓ぶちは二人一組で、一組ずつ獅子舞の時に太鼓を叩きます。

祭り中は交代しながら叩きますが、子供4人でずっとですから大人以上に大変だと思います。

管理人も通ってきた道ですが、大変な中、それほど苦痛と感じてはいませんでしたので、その時には既に祭りバカになっていたのだと思います(笑)

とにかく覚えることがいっぱいの「太鼓ぶち」。
大人達よりも、まずは子供からという練習もわかるお話です。

いったい誰が考えたのか、、、

今となってはわかりませんが、その「太鼓ぶち」は葛原だけではなく、お隣りの善通寺市にもありますし、香川県全体で見ると主に中西讃で見られる文化です。

「太鼓ぶち」があるということは、獅子舞はどこも一緒なのかというと決してそうではなく、獅子舞や使われている鳴り物は地域によって様々で、ただ「太鼓ぶち」という共通した役目があるということだけです。

獅子舞の文化が違うと、「太鼓ぶち」のスタイルの違いも表れます。

 

とんど焼き2018 [ 葛原正八幡宮 ]
とんど焼き2018 [ 葛原正八幡宮 ]

葛原のように着物にはちまきスタイルもあれば、

 

丸山八幡宮 秋季大祭 [ 善通寺市 ]
丸山八幡宮 秋季大祭 [ 善通寺市 ]

着物に花笠というスタイルもあります。

 

花の御前稲荷神社 [ 三豊市詫間町積 ]
花の御前稲荷神社 [ 三豊市詫間町積 ]

 

三豊市の沿岸沿いの地域では、唐様と呼ばれる中国風の衣装のスタイルもあります。

(法被の地域もありますが、様々な事情で法被に変わることもありますので、昔から法被だったというお話を聞くことがあれば、またその時にでもご紹介したいと思います。)

「太鼓ぶち」という文化だけでも、地域によって様々です。

そして、どれほどの子供達が、「太鼓ぶち」というその役目を担っているのか、、、。

中西讃の獅子組数だけでも、何百と超える相当な数です。

大木獅子組の場合は、多くても太鼓ぶちは4人ですが、それ以上の人数のいる獅子組もあります。
1組に最小で2人の太鼓ぶちがいたとしても、相当な人数の子供達がその役目を担っているのだと考えると、なんだか凄いお話です。

 

このように「太鼓ぶち」という役目は大変でありますが、その地域の獅子舞にとって大切な役目でもあります。

「太鼓ぶち」を経験した子供にとっても、その地域の文化に触れるきっかけにもなりますし、地元を大切に思う気持ちへと繋がることになっているのかなと思います。

管理人も伝える立場となった今、「太鼓ぶち」には本当に大切にしていかないといけないことは何なのか、行動でも伝えれるようなそんな大人になりたいと思います。

 

 

世代を超えて、思いを共有する

 

当ブログに、たまに書かせてもらうことがある善通寺市の獅子頭職人 松下のおっちゃん。

その松下のおっちゃんが手掛けた獅子頭は、20年、30年経っていても、まだまだ現役で使えるほど頑丈な獅子頭です。

ただ頑丈だといっても、月日が経ってば年季も入ってきます。
そのような年季の入った獅子頭も、職人さんの手によってかかれば、また新たな輝きを放ちます。

 

砂古獅子組(善通寺市)
砂古獅子組(善通寺市)

 

生まれ変わった獅子頭を初めて振る時は、とても緊張もしますし、気合いも入ります。

その獅子頭が新調されて、初めて獅子組の元に訪れた時も、同じように綺麗な輝きを放ってたのかもしれません。

その当時の世代の方々も、新調された獅子を初めて振る時は、とても緊張したのではないでしょうか。

獅子頭が生まれ変わることで、世代を超えて同じ思いを共有できるというのも、なんだか凄いお話だなと思います(*^-^*)

 

※写真は、善通寺市の砂古獅子組さんの獅子舞です。昨年、長く使われていた獅子頭を綺麗にされたそうす。