古き獅子頭

 

香川県の獅子頭で多く見かけるのは、三豊市の「丸岡」さん、善通寺市の「松下」さん、高松市の「宮武」さんの工房で制作された獅子頭です。

善通寺市の松下のおっちゃんから、よく若い頃のお話を聞くことがあるのですが、そのお話を聞いていると、昭和時代にそれぞれの職人さん達が活躍したことで、3つの代表的な屋号を持つ獅子頭ができていったのかなと感じます。

 

獅子舞 [ 香川県仲多度郡まんのう町 ]
獅子舞 [ 香川県仲多度郡まんのう町 ]

 

ただその中でも、どこの獅子頭か判別がつかない獅子頭と出会うことが、稀にあります。
それらの獅子頭は、見ただけでも古そうな獅子頭。

丸岡さん、松下さん、宮武さんの獅子頭の型に当てはまらない獅子頭もあれば、どことなく宮武さんかな?と、似ているような獅子頭もあります。

これまでの活動で耳に入ってきたのが、丸亀市と高松市春日町伏見にいたといわれる職人さんです。

いたということだけで、詳細までは情報が入ってこない謎多き職人さん達。
情報があまりないということは、相当古い職人さん達だったのかと思われます。

前回のブログ記事でも紹介をした、顔の長い獅子頭を持つ、

 

葛原正八幡宮 北獅子組
葛原正八幡宮 北獅子組

地元葛原の北獅子組さん、

 

葛原正八幡宮 南獅子組
葛原正八幡宮 南獅子組

ボロボロでしたが蔵から出てきた南獅子組さん、

 

十五町獅子組 [ 善通寺市 ]
十五町獅子組 [ 善通寺市 ]
元の獅子頭を参考に、新調された善通寺市十五町獅子組さん、

 

共に出所が不明の獅子頭ですが、若干の違いはありつつも顔つきが同じで、こうも近い地域で残っているということは、昔にいた同じ職人さんが手掛けたのではないかと想像ができます。

だとすると、共に隣りの地域に当たる丸亀市の職人さん?

と思ったりもするのですが、確証がない為、そうだったのかなぁ??と考えることしかできません(^^;)

 

逆に、少しはっきりとしている情報があるのは、高松市春日町伏見にいたといわれる職人さんです。

話を聞く限りでは、高松市春日町伏見の工房から派生したのが、高松市の宮武さんだそうです。

以前に、職人さんの工房で見かけたとある古い獅子頭。

あまり見ない型だなと思いつつも、その形状から宮武さんかな?と思っていたのですが、職人さんに聞くと伏見で作られた獅子頭という返答でした。

まさかこんなところで、伏見で作られた獅子頭と出会うなんて!と驚いていると、

 

亀田獅子連[ 高松市 ]
亀田獅子連[ 高松市 ]

 

獅子頭の内側に実際に、伏見と記述されていました。

この獅子頭は、高松市十河地区の亀田獅子連さんが所有されている獅子頭です。

見た感じはとても古い獅子頭。

修理されるということだそうなので、どのように綺麗になるのか気になるところです(#^^#)

しかし、当初は宮武さんかなと勘違いしたのも、宮武さんが伏見から学んだと考えると、似ているというのも納得できるお話です。

 

数は少ないながらも、こうして現在も使われ残っている姿を見ると、当時はどのような獅子頭が出回っていたのでしょうか。

それらの獅子頭は、もしかしたら練習用に使われていたり、南獅子組さんのところのように、どこかの蔵や倉庫に眠っている可能性も考えられます。

いつか出会うことがあればいいなと期待を膨らませ、また新しい獅子頭との出会いや祭りを求めて、2018年も各地域を回りたいと思います(*^-^*)

 

 

香川県の獅子舞

 

ここ数年、新聞記事やイベント情報など、「香川県の獅子舞」という言葉をよく目にするようになっています。

ふと「香川県の獅子舞」とはなんだろ?
と、思ったので考えてみました。

このブログでは、大木獅子組のサイトではありますが、管理人が県内各地へと訪れた祭りや獅子舞を不定期ながら書かせてもらっています。
県内を西から東へ巡っていますが、どの地域もその土地柄の特色が出ていて、とてもいい刺激をもらっています。

 

あやうたふるさとまつり[ 2017年11月5日(日)]
あやうたふるさとまつり[ 2017年11月5日(日)]

 

「香川県の獅子舞」と一括りにして、それらの地域の獅子舞を説明できるのかといわれると、、、

正直自信がないです(^^;)

では、香川県の獅子舞を全体的に見て、全て共通しているところはどこなのか、、、

 

大木獅子組[獅子頭(修理後)]
大木獅子組[獅子頭(修理後)]

 

「張り子の獅子頭」

だと思われます
※高松市香西町や、古くからの獅子頭が伝わっている地域などでは木彫りの獅子頭を使用されていますが、ここでは広く全体的に見てということで、申し訳ありませんが割愛させていただきます。

いやいや、鉦や油単があるだろ!

 

獅子舞 [ 香川県仲多度郡まんのう町 ]
獅子舞 [ 香川県仲多度郡まんのう町 ]

という声も上がるかもしれませんが、鉦がない地域も沢山ありますし、油単ではなく毛の獅子も土器川周辺地域では多く見かけます。

獅子舞の系統によって、使われる鳴り物の種類も変わってきますので、全て共通して同じ使われ方をしている鳴り物は、香川県の獅子舞では今のところ見たことはありません。

 

「讃岐獅子頭」

香川は全国でも獅子舞の盛んな地域です。
神社の祭礼に使われる獅子頭は、顎、耳、取っ手など一部を除き、張子の手法が使われています。
粘土の型に和紙を張り合わせ、型抜きをした後、胡粉や漆で素地を作り装飾を施します。
軽量で丈夫な乾漆作りが大きな特徴です。

香川県のサイトでは、香川県の伝統工芸として獅子頭をこのように紹介されています。

「香川県の獅子舞」を紹介するのであれば、、、

香川県の伝統工芸でもある、軽量で丈夫な乾漆作りの張り子の獅子頭を使い、その地域に伝わっている獅子舞を祭事で奉納をしている。
獅子舞の曲や、使われる鳴り物、獅子の油単(獅子の胴布)は地域によって様々で、舞も含め地域の特色が色濃く出ている。

でしょうか?

もっとうまくまとめれる文章力があったらよかったのですが(^^;)

ということで、このようにあれやこれやと考えても、、、

これぞ香川県の獅子舞!

といえるような代表的な獅子舞を、地域によって文化が違う香川県では見つかるわけもなく、言うなれば、張り子の獅子頭を使った様々な系統の違う獅子舞が伝わっているのが、香川県の獅子舞のいいところ、というとこでしょうか(^^)

 

葛原正八幡神社 秋季大祭
葛原正八幡神社 秋季大祭

 

最後に葛原でまとめさしてもらいますが、葛原4組ともまったく違うリズム、獅子舞を毎年奉納をしているというのもこの地域の特色です。

大木獅子組の獅子舞も、似たようなリズム、舞いをしている地域と出会ったことはありませんので、その組の獅子舞で完結しているというのも、先代達が築き上げた葛原の特長的な文化なのかもしれません。

この小さな地域でさえ、それぞれの獅子組で違っています。
日本一狭い県で、様々な獅子舞が生まれたというのもなんだか凄い話だと思います。

 

結局は、香川県の獅子舞文化は凄いなとなりますね(笑)

 

 

新調

 

獅子頭や油単、道具の新調となると、祭りに関わる地域に住む人達にとっても大きな出来事です。

壊れたから直そう、古くなったから新しくしよう

と思っても、なかなか気軽に獅子組だけでは動けない話でもあります。

ですので、新調や大きな修理で動くとなると、その獅子組にとっても歴史的に大きな出来事の一つとなります。

まだ管理人は、大木獅子組で新調するということになった世代ではないので、未経験ではありますが、色々と活動をしていると、新調や修理の現場に居合わすこともあったり、新しくなった道具の撮影をさせてもらえたりと、新調される獅子組さんの生の声を聞けることがあります。

初めは悩みながら、職人さんと相談しながら進めていくのですが、段々と形になっていくのを目の当たりしていくと、完成までの期待の目に変わっていく姿に、ちょっと羨ましく思ったりもします(笑)

 

[ 獅子頭 ]

青木北山獅子組 [ 多度津町 ]
青木北山獅子組 [ 多度津町 ]
葛原正八幡宮 西獅子組 [ 多度津町 ]
葛原正八幡宮 西獅子組 [ 多度津町 ]
辨天組 [ 善通寺市 ]
辨天組 [ 善通寺市 ]
十五町獅子組 [ 善通寺市 ]
十五町獅子組 [ 善通寺市 ]
 

[ 油単 ]

本浦若連中 [ 坂出市 ]
本浦若連中 [ 坂出市 ]

油単の新調 – 香川県の獅子舞 –
(前回のブログ記事でも、本浦若連中さんの油単の新調を書かせてもらいました。)

 

画像の獅子頭、油単は、新調や修理で生まれ変わって、祭りでお披露目されたものです。
どれも個性が出ていて、撮影していても目立っていました。

昨年から今年にかけて、油単の構想段階から、出来上がるまでを少しだけですが、見させてもらうことができました。

以前は、獅子頭がかっこよくなくてはと思っていましたが、油単をこだわって制作するとここまでになるんだという衝撃を受けて、管理人自身も油単への思いが強くなっています(^^)

大木獅子組でもいつか新調する時は、これぞ大木獅子組というものを作ってみたいものです(^-^)